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相続人は被相続人が遺言で分割を禁じた場合を除き、いつでも話し合いで遺産を分割することができます。これを協議による遺産分割といいます。
①協議の方法
分割の協議には相続人全員の参加が必要になります。
しかし、相続人が遠方にいるなどの理由で、一堂に会して協議するのが難しい場合があります。
このような場合は電話等であらかじめ話し合いをして、持ち回りした遺産分割協議書に相続人全員が各自署名・捺印することにより、遺産分割協議をすることもできます。
②行方不明の相続人がいる場合
行方不明者がいる場合でも、その人を除いた遺産分割協議は無効となってしまいます。
このような場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人(*)を選任してもらい、その管理人を協議に参加させるか、又は家庭裁判所で失踪宣告を得て、その人が亡くなったものとして、他の相続人全員で遺産分割協議をすることになります。
(*)不在者財産管理人とは、不在者の財産を管理する人のことです。利害関係人の申し立てにより、家庭裁判所が選任します。家庭裁判所の特別な許可を得れば、不在者に代わり遺産分割や、不動産の売却等を行うことができます。
③相続財産が自宅のみの場合の遺産分割
遺産が自宅のみという場合は、相続人の中で分け難いため、一人が自宅がすべてを相続して、その人が他の相続人に相続分に見合う財産(現金、他の不動産など)を渡して、遺産分割をすることができます。 この分割の方法を代償分割といいます。
また、自宅の全部を売却して、その代金を各相続分に応じて分配する換価分割という方法もあります。
④遺言と異なる遺産分割
遺言どおり遺産分割をしたとすると、税務上の不都合が生じるとか、相続人同士で争いが生じるなどの場合は、相続人全員の同意があれば遺言と異なる遺産分割をすることも可能です。
なお遺言執行者(*)がいる場合は、遺言執行人の同意が必要になります。
(*)遺言執行者とは、遺言者の死後、遺言書に書かれた内容を、相続人に代わって実現する人のことです。遺言で指定することができます。遺言執行者がいる場合は、遺言の執行を妨げるような相続人の行為は禁止されます。
⑤遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書の作成には法律上の決まりはないですが、あとで相続人同士の争いが起こるのを防ぐためにも、また、いくつかの項目を書き漏らしたため、預金や不動産の名義変更ができなくなることもありますので、きちんと作ることが大切です。
⑥遺産分割協議書作成上の注意点
・被相続人と相続人を特定し各相続人が取得する財産を明確にします。
・不動産の表示は、権利証や登記事項証明書(登記簿謄本)を見て正確
に記入します。
・遺産分割協議以後に判明した財産の分配の取り決めもしておきます。
・遺産分割協議書の日付は、協議の調った日を記入します。
・相続人各自が署名して実印を押します。
・相続人各自の印鑑証明を添付します。
・各相続人が1通ずつ所持できるように相続人と同じ通数を作成しま
す。
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